食材のご紹介
みやざき地頭鶏
「地頭鶏(じとっこ)」は、宮崎と鹿児島の旧島津領で古くから飼育されていた、日本に元々いた在来種の鶏です。その美味しさから農民が地頭職に献上しているうちに「地頭鶏」と呼ばれるようになったと言われています。繁殖が難しく、昭和18 年に固定天然記念物に指定を受けています。この「地頭鶏」と、大型の「劣勢白色プリマスロック」をかけ合わせた「F1」を父に、産卵率の高い「九州ロード」の雌をかけ合わせた三元交配方式つくられたのが「みやざき地頭鶏」です。
現在、「みやざき地頭鶏」を生産している農家は、宮崎県内でたった35 軒(平成19 年7月時点)。年間出荷量は 30万羽(平成18年現在)と、地鶏としてもわずかな量しか市場に出回っていません。それは、宮崎県が厳しい生産条件を満たし、指定を受けた35農家にしか雛を出荷しないため。その厳しい品質管理が、「みやざき地頭鶏」を数の面でも、そして品質(味)の面でも、幻の鶏にしているのです。
「みやざき地頭鶏」の特徴は、コシがあるのに柔らかい、ジューシーな肉質と噛めば噛むほどに湧き出る深い味わいにあります。特にじとっこの炭火焼は、香ばしい鶏油の香りが合わさって、滋味に溢れた逸品です。また、ササミや胸肉などもパサパサせず、鶏の旨みが豊富。さらに言えば、低脂肪、低カロリーで消化によいのも特徴と言えるでしょう。
有名な比内地鶏に比べると、淡白で上品な味の比内地鶏に対して、「みやざき地頭鶏」は、濃い味わいと脂に乗ったジューシーさが際立ちます。さっぱりした吟醸系の日本酒の似合う比内地鶏に対して、味のしっかりした純米酒や芋焼酎にピッタリの「みやざき地頭鶏」……と言うと、お酒好きの方には良くお分かりいただけると思います。
通常ブロイラーが60日程度で成鶏になるのに対して、みやざき地頭鶏も名古屋コーチンや比内地鶏など他の地鶏同様、150日程度の飼育期間が必要です。その間に必要となる飼料は、どの地鶏でも大差はありません。しかし、「みやざき地頭鶏」は、成鶏のサイズが他の鶏を圧倒しています。つまり、生産性が高いということがいえ、味はもちろんですが、希少性に加えて、この生産性の高さが特徴の一つです。
これは、開発の経緯の中で体が大きく成長し性格もおとなしい品種の白色プリマスロックを交配したことが理由として挙げられます。おとなしいという事は鶏同士で喧嘩をせず、飼育過程で死んでしまう可能性も低いというメリットにもつながっています。