地鶏のビジネスモデル
地鶏とは、日本農林規格(特定JAS)において、日本で明治以前から飼養されている在来種(薩摩鷄、比内地鶏など39種)由来の血統を50%以上受け継ぐ国産鶏の総称で、飼育期間は75日以上、平飼いで1m²当たり10羽以下で飼育しなければならないなどの厳格な定義があります。長期育成と健康的な飼育環境により、適度に引き締まった歯ごたえがあり、上質で風味の良い旨味が多くの人々を魅了しています。
エー・ピーホールディングスでは、宮崎県の地鶏「みやざき地頭鶏」をはじめとし、北海道の「新得地鶏」や鹿児島県の「黒さつま鶏」など、全国各地に自社養鶏場を設立するとともに周辺の農家と直接提携。提携農家と協力し、餌や飼育環境に徹底的にこだわった安心・安全な地鶏を自社生産しています。
【自社養鶏場の設立年表】 | |
2006年2月 | 宮崎県日南市に自社養鶏場を建設し、みやざき地頭鶏の生産を開始 |
2011年6月 | 北海道上川郡新得町の自社養鶏場で新得地鶏の生産を開始 |
2012年3月 | 鹿児島県霧島市の自社養鶏場で黒さつま鶏の生産開始 |
2014年10月 | 宮崎県西都市に自社養鶏場を建設 |
それぞれの地域で農家が育てた地鶏を直接購入することにより、従来は客単価¥6,000〜8,000が当たり前だった地鶏専門店を、客単価¥3,800で展開。お客様に高品質な地鶏をリーズナブルに提供することが可能となりました。
また、地鶏を全量買い取ることで契約農家の安定収入にもつながり、地域での新規就農増加・農家の後継者創出など、副次的効果も現れ始めています。
養鶏場だけでなく、地鶏の雛を育てる雛センターや、鶏肉の処理・加工センターなどの生産拠点を現地に設立し、生産体制を一元して管理するトレーサビリティを実現しました。安心・安全・高品質な地鶏の生産を拡大し、流通量を適切に増加させることで、消費の拡大や食糧自給率の増加にもつながっています。また、拠点設立によって宮崎県では約100人の直接雇用(間接雇用で200人)が生まれるなど、地域への雇用創出効果も生み出しています。
【加工・流通拠点の設立年表】
2007年11月 | 宮崎県日南市に加工センターを建設、食品加工業務を開始 |
2010年4月 | 宮崎県日南市で雛センター・食鳥処理場を運営する「地頭鷄ランド日南」を統合 |
2013年2月 | 宮崎県東諸県郡綾町に「みやざき地頭鶏」の雛センターを設立 |
2013年4月 | 宮崎県西都市に処理・加工拠点「西都加工センター」を建設 |
2014年8月 | 鹿児島県霧島市において(株)カゴシマバンズ(連結子会社)の処理場・加工場を設立 |
2015年3月 | 鹿児島県霧島市に「黒さつま鶏」の雛センターを設立 |
西都加工センター(宮崎県西都市) | 霧島加工センター(鹿児島県霧島市) |
生産者と飲食店という、これまでは直接会ったこともないような2つの業種間で、月に一度は会議を催し、新規出店予定や消費者ニーズに合わせて4~5ヶ月後に出荷する羽数の調整を行っています。以前は育てた鶏を決められた価格で納品し、その先のことなど意識もしたことがなかった生産者が、時代やマーケットのニーズに触れ、エンドユーザーを知ることで、単なる農業生産者から、農業経営者に意識を変化させるようになりました。
また、商品そのもののやりとり以外でも、年に一度の全社イベントでは東京の会場に生産者も訪れ、アルバイトスタッフも含めた全従業員と交流を持ち、生き物を扱う課程で365日24時間生き物と向き合うことの大変さ、飼育の段階でどんな工夫をしているのか、愛情を込めて育てた鶏を食鳥処理する時は辛くないのかなど、店舗スタッフからの質問にも答えてもらっています。飼育の真実を知ることで、店舗での提供時にも丸暗記したセリフのごとく商品説明をするのではなく、まるで自分が苦労を重ねて育てたかのような感覚で、お客様にご説明をするようになったスタッフもいます。こういった店舗スタッフと生産者の意識の変化も、大きな成果の一つとなっています。